うたのみあらか

かみほめ つちほめ たてまつる みそひとつ

東海道五十三次の旅

東海道五十三次 二十八の宿 遠江国磐田郡 見附宿 乗するにも乗るはなじまぬ栗毛どの

遠江国磐田郡(静岡県磐田市) 見附宿 見附 天竜川図 広重の手によせ 言祝く 蹴るあしの地の子なれば水漬くやも 馬子のくどきも煙ととくらむ 649. けるあしの つちのこなれば みづくやも まごのくどきも けむととくらむ 蹴る足の地の子なれば水漬くやも 馬子…

東海道五十三次 二十七の宿 遠江国山名郡 袋井宿 賽をふりふりあがりは遠し

遠江国山名郡(静岡県袋井市) 袋井宿 言祝く ふりだしゆ陸に山河に一会ごしいままなかいに真中の宿みゆ 648. ふりだしゆ ろくにさんかに いちえごし いままなかいに まなかのしゅくみゆ 振り出しゆ陸/六に山/三河に/二一会ご/五し/四今目な交いに真中の宿み…

東海道五十三次 二十七の宿 遠江国山名郡 袋井宿 みましも憩うか ついばむどちよ

遠江国山名郡(静岡県袋井市) 袋井宿 袋井 出茶屋ノ図 広重の手によせ 言祝く 行きさしの路次の竈つ火にくすぶるも風狂ならむや遠つ鳥子ろ 646. いきさしの ろしのへつひに くすぶるも ふうきょうならむや とおつとりころ 行き止しの路次の竈つ火に燻ぶるも…

東海道五十三次 二十六の宿 遠江国佐野郡 掛川宿 瀬を暗み宿りかさぬる佐野の宿

遠江国佐野郡(静岡県掛川市) 掛川宿 川を言祝く かぞうれば日長くなりぬ吾が旅は あした渡れど倉真と言いしに 646. かぞうれば けながくなりぬ わがたびは あしたわたれど くらみといいしに 数うれば日長くなりぬ吾が旅は 朝渡れど倉真/暗みと言いしに か …

東海道五十三次 二十六の宿 遠江国佐野郡 掛川宿 などて離るや かえるべき家のあるまいに

遠江国佐野郡(静岡県掛川市) 掛川宿 掛川 秋葉山遠望 広重の手によせ 言祝く 寄す処なき凧にしあらば宙をかけ参り来てしが秋葉やまぎわ 645. よすかなき たこにしあらば そらをかけ まいりきてしが あきはやまぎわ 寄す処無き凧にしあらば宙を翔け参り来て…

東海道五十三次 二十五の宿 遠江国佐野郡 日坂宿 無念なるらめ 抱きしもあえぬいろはこそ

遠江国佐野郡(静岡県掛川市) 日坂宿 日坂 佐夜ノ中山 名物 夜泣き石を言祝く 魂尽くるにも母ごころ尽きざらし 佐夜の中山かなし石泣く 644. たまつくる にもははごころ つきざらし さよのなかやま かなしいしなく 魂尽くるにも母心尽きざらし 佐夜の中山哀…

東海道五十三次 二十五の宿 遠江国佐野郡 日坂宿 道さびしくとも熊な来そ

遠江国佐野郡(静岡県掛川市) 日坂宿 日坂 佐夜ノ中山 広重の手によせ 言祝く 山の辺の佐夜鹿まさか嵩ゆくさ五百つ松見つべきに見え来に 643. やまのへの さよしかまさか かさゆくさ いおつまつみつ べきにみえこに 山の辺の佐夜鹿 目前嵩行くさ五百つ松見…

東海道五十三次 二十四の宿 遠江国榛原郡 金谷宿 大井越しみやこはいまだ遠江

遠江国榛原郡(静岡県島田市) 金谷宿 言祝く 徒歩よどみなぞりし道こそ八尋なれ淡海のいまだ遠つと宣ばく 642. かちよどみ なぞりしちこそ やひろなれ あうみのいまだ とおつとのたばく 徒歩淀みなぞりし道こそ八尋なれ淡海の未だ遠つと宣ばく か ちよどみ …

東海道五十三次 二十四の宿 遠江国榛原郡 金谷宿 水やたぎつな とくとく渡せ

遠江国榛原郡(静岡県島田市) 金谷宿 金谷 大井川遠岸 広重の手によせ 言祝く 如何にしかやどらむ ゆかなゆかばはや喉もとすぐる国方の道 641. いかにしか やどらむゆかな ゆかばはや のどもとすぐる くにがたのみち 如何にしか宿らむ 行かな行かば早や喉も…

東海道五十三次 二十三の宿 駿河国志太郡 嶋田宿 水かさのましていそがし島田髷

駿河国志太郡(静岡県島田市) 嶋田宿 言祝く 洒落めかす髷も曲げえぬ段取りにまろうど咲くや あめうらみつつ 640. しゃれめかす まげもまげえぬ だんどりに まろうどさくや あめうらみつつ 洒落めかす髷も曲げえぬ段取りに客人咲くや 天/雨恨みつつ し ゃれ…

東海道五十三次 二十三の宿 駿河国志太郡 嶋田宿 鳥の子の見下げいやちこ大井川

駿河国志太郡(静岡県島田市) 嶋田宿 嶋田 大井川駿岸 広重の手によせ 言祝く 宿ゆかば真一の竜の大名もとぐろまきけり渡しづまりに 639. しゅくゆかば まいちのりゅうの だいみょうも とぐろまきけり わたしづまりに 宿行かば真一の竜の大名も塒巻きけり渡…

東海道五十三次 二十二の宿 駿河国志太郡 藤枝宿 孫三の孫の伝えし朱印状

駿河国志太郡(静岡県藤枝市) 藤枝宿 白子の町を言祝く 吹きかえす侍衛の恩の大なれば伊勢ゆ駿河の白子かんじょう 638. ふきかえす じえいのおんの だいなれば いせゆするがの しろこかんじょう 吹き反す侍衛の恩の大なれば伊勢ゆ駿河の白子勧請 ふ きかえ…

東海道五十三次 二十二の宿 駿河国志太郡 藤枝宿 二つ文字のみにはならぬ世間なれ

駿河国志太郡(静岡県藤枝市) 藤枝宿 藤枝 人馬継立 広重の手によせ 言祝く 人馬荷駄あふれば上うえさばくまじ いかでか駅夫かろむべしやも 637. じんばにだ あふればうえうえ さばくまじ いかでかえきふ かろむべしやも 人馬荷駄溢れば上々捌くまじ いかで…

東海道五十三次 二十一の宿 駿河国志太郡 岡部宿 うつつにもあわれなりけむいろごのみ

駿河国志太郡(静岡県藤枝市) 岡部宿 むかしおとこを偲ぶ みやこ落つべきとが負いしかなし身の男ながめし駿河なるかも 636. みやこおつ べきとがおいし かなしみの おとこながめし するがなるかも 都落つべき咎負いし哀し身の男眺めし駿河なるかも みやこお…

東海道五十三次 二十一の宿 駿河国志太郡 岡部宿 山ながら倦みてしという えも笑まず

駿河国志太郡(静岡県藤枝市) 岡部宿 岡部 宇津之山 広重の手によせ 言祝く 宇津之山ゆきゆきみれば奥つ方かすか里めくべし いき延びぬ 635. うつのやま ゆきゆきみれば おくつかた かすかさとめく べしいきのびぬ 宇津之山行き行き見れば奥つ方微か里めく…

東海道五十三次 二十の宿 駿河国有渡郡 鞠子宿 いかばかり 三膳あまり乞いてけり

駿河国有渡郡(静岡県静岡市駿河区) 鞠子宿 鞠子 名物茶屋 広重の手によせ 名物を言祝く とろろ汁はめばあなうま いかばかり肥ゆるや芋こ みがらするがに 634. とろろじる はめばあなうま いかばかり こゆるやいもこ みがらするがに とろろ汁食めばあなうま…

東海道五十三次 二十の宿 駿河国有渡郡 鞠子宿 春まだきままにと願う父ごころ

駿河国有渡郡(静岡県静岡市駿河区) 鞠子宿 鞠子 名物茶屋 広重の手によせ 言祝く まなかいに律儀の春はことといてうぶのつぼみをはらませてあり 633. まなかいに りちぎのはるは ことといて うぶのつぼみを はらませてあり 目な交いに律儀の春は言問いて初…

東海道五十三次 十九の宿 駿河国有渡郡 府中宿 餅くえば目方ふえてし渡しまち

駿河国有渡郡(静岡県静岡市葵区) 府中宿 名物 安倍川餅を言祝く 時な来とふる砂糖こそ馳走なれ言う名もたかき五文どりやな 632. ときなこと ふるさとうこそ ちそうなれ ゆうなもたかき ごもんどりやな 時な来と振る砂糖こそ馳走なれ言う名も高き五文採やな…

東海道五十三次 十九の宿 駿河国有渡郡 府中宿 すみやかに渡せ安倍川澄みてしあれば

駿河国有渡郡(静岡県静岡市葵区) 府中宿 府中 安部川 広重の手によせ 言祝く 山に川 符牒とおしてゆくがごとうらら晴るかす安倍の渡しろ 631. やまにかわ ふちょうとおして ゆくがごと うららはるかす あべのわたしろ 山に川 符牒通して行くが如うらら晴る…

東海道五十三次 十八の宿 駿河国庵原郡 江尻宿 天つ女のなお降りにやと松がよい

駿河国庵原郡(静岡県静岡市清水区) 江尻宿 名物 羽衣の松を言祝く えにかけし上手の舞はりりしくも艶らなりけむ見まくしもがも 630. えにかけし じょうずのまいは りりしくも つやらなりけむ みまくしもがも 枝に/縁掛けし上手の舞は凛々しくも艶らなりけ…

東海道五十三次 十八の宿 駿河国庵原郡 江尻宿 天降りこしひめのより松みそもがも

駿河国庵原郡(静岡県静岡市清水区) 江尻宿 名所 三保の松原を言祝く 七重八重 神のかよい路あてまさり見惚るるままに天降りこしけむ 629. ななえやえ かみのかよいじ あてまさり みほるるままに あもりこしけむ 七重八重 神の通い路貴優り見惚るる儘に天降…

東海道五十三次 十八の宿 駿河国庵原郡 江尻宿 海そめでたき 今も往にしも往にしの往にしも

駿河国庵原郡(静岡県静岡市清水区) 江尻宿 江尻 三保遠望 広重の手によせ 言祝く 現つ海は帆船はしらせえも青む上古の松は隆と潮じむ 628. あきつみは ほぶねはしらせ えもあおむ じょうこのまつは りゅうとしおじむ 現つ海は帆船走らせえも青む上古の松は…

東海道五十三次 十七の宿 駿河国庵原郡 興津宿 逢う浜のするがひたちを聞きあえず

駿河国庵原郡(静岡県静岡市清水区) 興津宿 名所を言祝く おとにきく許奴美の浜とつゆしらずきみをまつ海そおのづ潮たるる 627. おとにきく こぬみのはまと つゆしらず きみをまつみそ おのづしおたるる 音に聞く許奴美の浜と露知らず君を待つ海/身そ己づ潮…

東海道五十三次 十七の宿 駿河国庵原郡 興津宿 かかえては地につきなむ徒なるも

駿河国庵原郡(静岡県静岡市清水区) 興津宿 興津 興津川 広重の手によせ 言祝く たぢからお助けそあるべき 息みつつ舁く川越しはなえまろびなむ 626. たぢからお すけそあるべき いきみつつ かくかわごしは なえまろびなむ 手力男助けそ在るべき 息みつつ舁…

東海道五十三次 十六の宿 駿河国庵原郡 由井宿 海も嶺も一幅のうちたなごころ

駿河国庵原郡(静岡県静岡市清水区) 由井宿 由井 さった嶺 広重の手によせ 言祝く 雪富士はいただき晴れて手裏のうち くぐむ松が枝すきてそ映えける 625. ゆきふじは いただきはれて しゅりのうち くぐむまつがえ すきてそはえける 雪富士は頂晴れて手裏の…

東海道五十三次 十六の宿 駿河国庵原郡 由井宿 祖つ世もながめうるわし末つ世も

駿河国庵原郡(静岡県静岡市清水区) 由井宿 由井 さった嶺 広重の手によせ 言祝く 嶺の端ゆのぞむ富士美し ふるびゆく人みすぐして時じくしあらむ 624. みねのはゆ のぞむふじいし ふるびゆく ひとみすぐして ときじくしあらむ 嶺の端ゆ望む富士美し 旧び行…

東海道五十三次 十五の宿 駿河国庵原郡 蒲原宿 白天花よこしてそらは闇ふかし

駿河国庵原郡(静岡県静岡市清水区) 蒲原宿 蒲原 夜之雪 広重の手によせ 言祝く かさみ雪 晩されば寒らかに凍み墨まく天は地に墜ち暗れぬ 623. かさみゆき ばんさればさむ らかにしみ すみまくてんは ちにおちくれぬ 嵩深雪 晩去れば寒らかに凍み墨撒く天は…

東海道五十三次 十五の宿 駿河国庵原郡 蒲原宿 閑かさや天降りこし花とけざらし

駿河国庵原郡(静岡県静岡市清水区) 蒲原宿 蒲原 夜之雪 広重の手によせ 言祝く 道すがら時に暮るれば六つ天花しろ敷く里に宿るべからむ 622. みちすがら ときにくるれば むつてんか しろしくさとに やどるべからむ 道すがら時に暮るれば六つ天花白敷く里に…

東海道五十三次 十四の宿 駿河国富士郡 吉原宿 みぎひだり道触の神の枝折るまま

駿河国富士郡(静岡県富士市) 吉原宿 吉原 左富士 広重の手によせ 言祝く うまの背によする身のから尻あわせ咲うやからは弓手みてけり 621. うまのせに よするみのから しりあわせ わらうやからは ゆんでみてけり 馬の背に寄する身の柄尻合わせ咲う族は弓手…

東海道五十三次 十四の宿 駿河国富士郡 吉原宿 大き峰の宿替えさびし右つ方

駿河国富士郡(静岡県富士市) 吉原宿 吉原 左富士 広重の手によせ 言祝く よせかくる潮いまわしみ海を離るらむ あなめずら ひだり富士みゆ 620. よせかくる しおいまわしみ わたをかる らむあなめずら ひだりふじみゆ 寄せ掛くる潮忌わしみ海を離るらむ あ…