うたのみあらか

かみほめ つちほめ たてまつる みそひとつ

東海道五十三次の旅

東海道五十三次 終着 山城国愛宕郡 三條大橋 道ひきたまえ新たな旅に

山城国愛宕郡(京都府京都市) 三條大橋 了いを言祝く 散人の用なきにしておもしろく折り旅しはてぬ 走る走るに 709. さんじんの ようなきにして おもしろく おりたびしはてぬ はしるはしるに 散人の用無きにして面白く折り旅し果てぬ 走る走るに さんじ ん…

東海道五十三次 終着 山城国愛宕郡 三條大橋 いかにそや吾家なつかし旅のはて

山城国愛宕郡(京都府京都市) 三條大橋 京師 三條大橋 広重の手によせ 旅の終わりを言祝く 風に散じ 波にかがよう鴨の青 お江戸の青はよくにてあるらし 708. ちにさんじ なみにかがよう かものあお おえどのあおは よくにてあるらし 風に散じ 波に耀う鴨の…

東海道五十三次 終着 山城国愛宕郡 三條大橋 ふところも身柄も寒し 終の道

山城国愛宕郡(京都府京都市) 三條大橋 京師 三條大橋 広重の手によせ 言祝く 参上もおのづにそぼつ尾羽かれて宿つぐ旅の大尾なりけり 707. さんじょうも おのづにそぼつ おはかれて しゅくつぐたびの たいびなりけり 参上も己づに濡つ尾羽枯れて宿継ぐ旅の…

東海道五十三次 五十三の宿 近江国滋賀郡 大津宿 遠つ祖の急がばまわれと言いしかど

近江国滋賀郡(滋賀県大津市) 大津宿 名物 矢橋の渡しを言祝く ひけよ水緒 淡海の真青さなでつつ旅枯るる身をひたせたおたお 706. ひけよみお おうみのまさお さなでつつ たびかるるみを ひたせたおたお 引けよ水緒 淡海の真青さ撫でつつ旅枯るる身を漬せた…

東海道五十三次 五十三の宿 近江国滋賀郡 大津宿 比売神のつかいと知ればなおすがし

近江国滋賀郡(滋賀県大津市) 大津宿 大津 走井茶店 広重の手によせ 名物 走井を言祝く みづはのめ遣せし饗のお寝り処は地にいだかれ冷やかなるらむ 705. みづはのめ おこせしあえの およりがは つちにいだかれ ひやかなるらむ 罔象女遣せし饗のお寝り処は…

東海道五十三次 五十三の宿 近江国滋賀郡 大津宿 出がらしの茶にも名残の旅じまい

近江国滋賀郡(滋賀県大津市) 大津宿 大津 走井茶店 広重の手によせ 言祝く おそはやも己がじしゆく終のみち 時つ神ただ綱ひくままに 704. おそはやも おのがじしゆく ついのみち ときつかみただ つなひくままに 遅早も己がじし行く終の道 時つ神ただ綱引く…

東海道五十三次 五十二の宿 近江国栗太郡 草津宿 いましならぬ誰の思うか腹の鳴り

近江国栗太郡(滋賀県草津市) 草津宿 草津 名物立場 広重の手によせ 名物 うばがもちを言祝く くくむ手にさしくむなさけ尽くしつく母なかくれそ瑞歯さすとも 703. くくむてに さしくむなさけ つくしつく おもなかくれそ みづはさすとも 含む手に差し酌む情…

東海道五十三次 五十二の宿 近江国栗太郡 草津宿 あれは西行き これ東行き

近江国栗太郡(滋賀県草津市) 草津宿 草津 名物立場 広重の手によせ 言祝く たてば来ば幸くにぎわしく行くさくさ廻みつ渡りつ淡海しおおみ 702. たてばこば さくにぎわしく ゆくさくさ たみつわたりつ おうみしおおみ 立場来ば幸く賑わしく行くさ来さ廻みつ…

東海道五十三次 五十一の宿 近江国甲賀郡 石部宿 月読も今宵かぎりの道すがら

近江国甲賀郡(滋賀県湖南市) 石部宿 終の宿りを言祝く いく幸いたびに枕きにしいく夜べきょうもあしたとなりにけるかも 701. いくちわい たびにまきにし いくよるべ きょうもあしたと なりにけるかも 幾幸い旅/度に枕きにし幾夜べ京/今日も明日となりにけ…

東海道五十三次 五十一の宿 近江国甲賀郡 石部宿 目も腹もものほしげなり 如何にせむ

近江国甲賀郡(滋賀県湖南市) 石部宿 石部 目川ノ里 広重の手によせ 言祝く いのちあえ しじにし鎮むべきならばいせはさきがけ淡海はあとに 700. いのちあえ しじにししずむ べきならば いせはさきがけ おうみはあとに 命饗 繁にし鎮むべきならば伊勢は先駆…

東海道五十三次 五十の宿 近江国甲賀郡 水口宿 水口の石にや匂うみましかも

近江国甲賀郡(滋賀県甲賀市) 水口宿 名物 水口石を言祝き 大井子に捧ぐ なみの手にくみするものか力石 ただしららなる大井子の手に 699. なみのてに くみするものか ちからいし ただしららなる おおいこのてに 並の手に与するものか力石 唯白らなる大井子…

東海道五十三次 五十の宿 近江国甲賀郡 水口宿 夕つ顔ほすおみなこや よく聞かね

近江国甲賀郡(滋賀県甲賀市) 水口宿 水口 名物干瓢 広重の手によせ 言祝く 愛し汝みましな干しそ みなぎらうくくりみにこそ幸うせもあれ 698. はしいまし みましなほしそ みなぎらう くくりみにこそ ちわうせもあれ 愛し汝汝な干しそ 漲らう潜り身/実にこ…

東海道五十三次 四十九の宿 近江国甲賀郡 土山宿 ものわかりよき甲羅やな舌つづみ

近江国甲賀郡(滋賀県甲賀市) 土山宿 名物 蟹ヶ坂飴を言祝く つくばいし道触りの蟹の厄はらえ まろきあまきに益とけゆかね 697. つくばいし ちふりのかみの やくはらえ まろきあまきに やくとけゆかね 蹲いし道触りの蟹の厄祓え 円き甘きに益溶け行かね つ …

東海道五十三次 四十九の宿 近江国甲賀郡 土山宿 田村なれ 祀る社もゆく水も

近江国甲賀郡(滋賀県甲賀市) 土山宿 土山 春之雨 広重の手によせ 言祝く つづらあめ千々にあもれり やわさかすますらお川に春をつみつつ 696. つづらあめ ちぢにあもれり やわさかす ますらおがわに はるをつみつつ 十ら雨千々に雨降れり 和さかす益荒男川…

東海道五十三次 四十八の宿 伊勢国鈴鹿郡 阪之下宿 わがせなとよべば夜深し立烏帽子

伊勢国鈴鹿郡(三重県亀山市) 阪之下宿 鈴鹿御前に奉る 山月よかのさま手びけ慕いつつした待つ御前をあわれと思わば 695. さんげつよ かのさまてびけ したいつつ したまつごぜを あわれとおもわば 山月よ彼の様手引け慕いつつ下待つ御前を哀れと思わば さ …

東海道五十三次 四十八の宿 伊勢国鈴鹿郡 阪之下宿 筆捨てのゆかりを問えど岩根山

伊勢国鈴鹿郡(三重県亀山市) 阪之下宿 阪之下 筆捨嶺 広重の手によせ 言祝く 峰もうたた色こき往にし法眼の筆を呑みしか言わねのさのさ 694. ねもうたた いろこきいにし ほうげんの ふでをのみしか いわねのさのさ 峰も転色濃き往にし法眼の筆を呑みしか言…

東海道五十三次 四十七の宿 伊勢国鈴鹿郡 関宿 関の山 舞台回しの山場なる

伊勢国鈴鹿郡(三重県亀山市) 関宿 名物 祇園夏まつりを言祝く 背子の手ゆ軋めく山車の斎つ子らはくるめく闇にとけつうかびつ 693. せこのてゆ きしめくやまの ゆつこらは くるめくやみに とけつうかびつ 背子の手ゆ軋めく山車の斎つ子らは転めく闇に溶けつ…

東海道五十三次 四十七の宿 伊勢国鈴鹿郡 関宿 日入りにはいづこの空か朝まだき

伊勢国鈴鹿郡(三重県亀山市) 関宿 関 本陣早立 広重の手によせ 言祝く まれびとは急きてこそたて東雲の行くさのつゆは草に庵らふ 692. まれびとは せきてこそたて しののめの ゆくさのつゆは くさにいおらふ 稀人は急きてこそ立て東雲の行くさの露は草に庵…

東海道五十三次 四十六の宿 伊勢国鈴鹿郡 亀山宿 曽我におとらぬ元禄ひとつはら

伊勢国鈴鹿郡(三重県亀山市) 亀山宿 名物 石井兄弟敵討を言祝く いかで天かれと戴かめや さらば真秀にも非にもはたさざらむや 691. いかでてん かれといただか めやさらば まほにもひにも はたさざらむや 如何で天彼と戴かめや 然らば真秀にも非にも果たさ…

東海道五十三次 四十六の宿 伊勢国鈴鹿郡 亀山宿 白みけしふれなばとけむ血の熱さ

伊勢国鈴鹿郡(三重県亀山市) 亀山宿 亀山 雪晴 広重の手によせ 言祝く 天降り華 やまし命の目離れ憂みかしろくつつむ心もおもても 690. あもりばな やましいのちの めかれうみ かしろくつつむ うらもおもても 天降り華 疚し命の目離れ憂みか白く包む心も表…

東海道五十三次 四十五の宿 伊勢国鈴鹿郡 庄野宿 地いろは いさましも美し汲川原

伊勢国鈴鹿郡(三重県鈴鹿市) 庄野宿 名物 女人堤防を言祝く 浸む地によきおなごまし雨さはらす 載せつ積みつつ身を罪しろに 689. しむつちに よきおなごまし うさはらす のせつつみつつ みをつみしろに 浸む地に善き女子坐し雨さ/憂さ晴らす 載せつ積みつ…

東海道五十三次 四十五の宿 伊勢国鈴鹿郡 庄野宿 風の神のいかりたばるは汝か吾か

伊勢国鈴鹿郡(三重県鈴鹿市) 庄野宿 庄野 白雨 広重の手によせ 言祝く 天降りこし篠のやぶすま杳とうつ退かましあらしゆきすぎざらしに 688. あもりこし しののやぶすま ようとうつ のかましあらし ゆきすぎざらしに 天降り来し篠の矢衾杳と打つ退かまし嵐…

東海道五十三次 四十四の宿 伊勢国鈴鹿郡 石薬師宿 名にし負うやしろや花や幸いあれ

伊勢国鈴鹿郡(三重県鈴鹿市) 石薬師宿 名物 桜木を言祝き 蒲冠者範頼公に奉る 誣い言はくやしながらもいくかえりみからしららに咲うきみはや 687. しいごとは くやしながらも いくかえり みからしららに わらうきみはや 誣い言は悔しながらも幾返り身柄白…

東海道五十三次 四十四の宿 伊勢国鈴鹿郡 石薬師宿 狸にも如来にもなる命ありこせ

伊勢国鈴鹿郡(三重県鈴鹿市) 石薬師宿 もののふの棟梁を言祝く 医者ぼとけくすし縁もて衆生めき降りたちけらし三河あたりに 686. いしゃぼとけ くすしえにもて しゅじょうめき おりたちけらし みかわあたりに 医者仏奇し/薬師縁以て衆生めき降り立ちけらし…

東海道五十三次 四十四の宿 伊勢国鈴鹿郡 石薬師宿 仏とは斎むにか忌むにか

伊勢国鈴鹿郡(三重県鈴鹿市) 石薬師宿 石薬師 石薬師寺 広重の手によせ 言祝く 寝ぬる子もしゃくしも武士もしゅくしゅくと山の門たたく厄し祓えに 685. いぬるこも しゃくしもぶしも しゅくしゅくと やまのとたたく やくしはらえに 寝ぬる子も杓子も武士も…

東海道五十三次 四十三の宿 伊勢国三重郡 四日市宿 三重しなる小碓のきみのゆかり名そ

伊勢国三重郡(三重県四日市市) 四日市宿 名物 杖衝坂を言祝く 捩づる手に杖つき坂のかいもなく地掻くみあしは三重に屈しけり 684. よづるてに つえつきざかの かいもなく ちがくみあしは みえにくしけり 捩づる手に杖衝き坂の甲斐も無く地掻く御脚は三重に…

東海道五十三次 四十三の宿 伊勢国三重郡 四日市宿 大和なる小碓の君の偲び処そ

伊勢国三重郡(三重県四日市市) 四日市宿 名物 杖衝坂を言祝く 捩づる手に杖つき坂のかいあらばい生りし国に道反すものから 683. よづるてに つえつきざかの かいあらば いなりしくにに ちかえすものから 捩づる手に杖衝き坂の甲斐有らばい生りし国に道反す…

東海道五十三次 四十三の宿 伊勢国三重郡 四日市宿 比売御前の手なるもきびし秋と見え

伊勢国三重郡(三重県四日市市) 四日市宿 四日市 三重川 広重の手によせ 言祝く 天つ海よ竜田のつかいいそぎたちとばしりまろぶその冴ゆる風に 682. あまつみよ たつたのつかい いそぎたち とばしりまろぶ そのさゆるちに 天つ海よ竜田の使い急ぎ発ち迸り転…

東海道五十三次 四十二の宿 伊勢国桑名郡 桑名宿 このたびは西むくたびにて鳥居ごし

伊勢国桑名郡(三重県桑名市) 桑名宿 名物 伊勢国一の鳥居を言祝く くし神にわけて慎みはなけれどもみもすすくればめみえいづれに 681. くしかみに わけてつつみは なけれども みもすすくれば めみえいづれに 奇し神に分けて慎みは無けれども身も煤くれば目…

東海道五十三次 四十二の宿 伊勢国桑名郡 桑名宿 あさけふる伊勢のむかえはいかさまに

伊勢国桑名郡(三重県桑名市) 桑名宿 桑名 七里渡口 広重の手によせ 言祝く 波まくら咲う海面のくじり垣 やぐらあぐらに伊勢つ龍ます 680. なみまくら わらううなもの くじりがき やぐらあぐらに いせつたつます 波枕咲う海面の抉り垣 櫓胡床に伊勢つ龍坐す…