うたのみあらか

かみほめ つちほめ たてまつる みそひとつ

東海道五十三次の旅

東海道五十三次 七里の渡し 尾張国宮宿 伊勢国桑名宿 ただひとたびの逢瀬にあれば

七里の渡し 尾張国宮宿(愛知県名古屋市) 伊勢国桑名宿(三重県桑名市) 七里の渡し 両湊を言祝く みなうらな八百うつ波な慰まく馴れ来な水泡ながらえもがな 679. みなうらな やおうつなみな なぐさまく なれきなみなわ ながらえもがな 海/身な浦/心な八百…

東海道五十三次 四十一の宿 尾張国愛知郡 宮宿 晴るかしたまえ はるばる来ぬれば

尾張国愛知郡(愛知県名古屋市) 宮宿 七里の渡しを言祝く 海ゆかば水漬くしきしま八重がすみ 七里の渡しゆくらゆくらに 678. うみゆかば みづくしきしま やえがすみ しちりのわたし ゆくらゆくらに 海行かば水漬く敷島八重霞み 七里の渡しゆくらゆくらに う…

東海道五十三次 四十一の宿 尾張国愛知郡 宮宿 ふりさけば天のむら雲つつみけり

尾張国愛知郡(愛知県名古屋市) 宮宿 宮 熱田神事 広重の手によせ 言祝く くさなぎのゆかり尊み為出づるや まとう絞りに駒はねたける 677. くさなぎの ゆかりとうとみ しいづるや まとうしぼりに こまはねたける 草薙の縁尊み為出づるや 纏う絞りに駒跳ね猛…

東海道五十三次 四十の宿 尾張国愛知郡 鳴海宿 往にしひと偲び難きも桶狭間

尾張国愛知郡(愛知県名古屋市) 鳴海宿 治部大輔義元公に奉る 見さげこそ流転ぶる世のならいなれ秀つ弓取りのいかで褪せなむ 676. みさげこそ るてんぶるよの ならいなれ ほつゆみとりの いかであせなむ 見下げこそ流転ぶる世の慣らいなれ秀つ弓取りの如何…

東海道五十三次 四十の宿 尾張国愛知郡 鳴海宿 美しきもの生れき こわごわしその手ゆり

尾張国愛知郡(愛知県名古屋市) 鳴海宿 鳴海 名物有松絞 名物 絞りを言祝く やわき手の縫いみくくりみえもしぼる あわに溺れな においつくまで 675. やわきての ぬいみくくりみ えもしぼる あわにおぼれな においつくまで 柔き手の縫いみ括りみえも絞る あ…

東海道五十三次 四十の宿 尾張国愛知郡 鳴海宿 日の本のめでる藍染め 海深み

尾張国愛知郡(愛知県名古屋市) 鳴海宿 鳴海 名物有松絞 広重の手によせ 言祝く 間の宿 有松の店ながむれば瑠璃そにおえる見すぐべしやも 674. あいのしゅく ありまつのたな ながむれば るりそにおえる みすぐべしやも 間の宿 有松の店眺むれば瑠璃そ匂える…

東海道五十三次 三十九の宿 三河国碧海郡 池鯉鮒宿 ととの子あそぶみやしろの池

三河国碧海郡(愛知県知立市) 池鯉鮒宿 名社 池鯉鮒大明神を言祝く うきしずみゆるぐ魚どちちりばめぬ 名にしおうその瑞垣のうち 673. うきしずみ ゆるぐうおどち ちりばめぬ なにしおうその みずがきのうち 浮き沈み揺るぐ魚どち鏤めぬ 名にし負うその瑞垣…

東海道五十三次 三十九の宿 三河国碧海郡 池鯉鮒宿 栗毛鹿毛 あしたはあしたの草を食み

三河国碧海郡(愛知県知立市) 池鯉鮒宿 池鯉鮒 首夏馬市 広重の手によせ 言祝く 馬も吾もゆくえしらずま利口ます道の神にただいななくばかりに 672. うまもあも ゆくえしらずま りこうます ちのかみにただ いななくばかりに 馬も吾も行方知らずま利口坐す道…

東海道五十三次 三十九の宿 三河国碧海郡 池鯉鮒宿 鹿毛芦毛 一期一会にいななけり

三河国碧海郡(愛知県知立市) 池鯉鮒宿 池鯉鮒 首夏馬市 広重の手によせ 言祝く 餞くる首夏の馬市 歯並み揺り鳴す鼻うたゆお里かたらう 671. はなむくる しゅかのうまいち はなみゆり なすはなうたゆ おさとかたらう 餞くる首夏の馬市 歯並み揺り鳴す鼻唄ゆ…

東海道五十三次 三十八の宿 三河国額田郡 岡崎宿 あなうらやまし 小碓のきみのよしの町

三河国額田郡(愛知県岡崎市) 岡崎宿 矢作神社を言祝き 日本武尊に奉る 貴子ひとつ在ながらうる川なかに生うす竹刈り矢矧がせ励みき 670. きしひとつ ざいながらうる かわなかに おうすたけかり やはがせはげみき 貴子一つ在長らうる川中に生うす竹刈り矢矧…

東海道五十三次 三十八の宿 三河国額田郡 岡崎宿 気をはればきしみきしめく足の下

三河国額田郡(愛知県岡崎市) 岡崎宿 岡崎 矢矧之橋 広重の手によせ 言祝く 矢矧ばし気ざしいよだつ川むこう大きいくさのみあれ城みゆ 669. やはぎばし きざしいよだつ かわむこう おおきいくさの みあれしろみゆ 矢矧橋気ざし弥立つ川向こう大き軍の御生れ…

東海道五十三次 三十七の宿 三河国額田郡 藤川宿 馬も四つ足 なれも四つ足 せめてつまもかその頬べ

三河国額田郡(愛知県岡崎市) 藤川宿 藤川 棒鼻ノ図 広重の手によせ 言祝く 犬子はふびんなりけり 獣のみのかわりなきにもすめら知らずま 668. えのころは ふびんなりけり じゅうのみの かわりなきにも すめらしらずま 犬子は不憫なりけり 獣の身の変わり無…

東海道五十三次 三十七の宿 三河国額田郡 藤川宿 幣たてばひくきに見やる馬の尻

三河国額田郡(愛知県岡崎市) 藤川宿 藤川 棒鼻ノ図 広重の手によせ 言祝く 伏しおがむ上意づくしの若つ駒 汝が背かさなも吾が尻いらすに 667. ふしおがむ じょういづくしの わかつこま ながせかさなも わがしりいらすに 伏し拝む上意尽くしの若つ駒 汝が背…

東海道五十三次 三十六の宿 三河国宝飯郡 赤阪宿 かかととの影も朱さす玉のうち

三河国宝飯郡(愛知県豊川市) 赤阪宿 赤阪 旅舎招婦ノ図 広重の手によせ 言祝く あかなくにさびし入りの日かくれては置かるるみこそかなしうおじゃれ 666. あかなくに さびしいりのひ かくれては おかるるみこそ かなしうおじゃれ 飽かなくに寂し入りの日隠…

東海道五十三次 三十六の宿 三河国宝飯郡 赤阪宿 幣まかむ旅の色にも道触神

三河国宝飯郡(愛知県豊川市) 赤阪宿 赤阪 旅舎招婦ノ図 広重の手によせ 言祝く 垢おとし酒な肴な魚な掻きがきの旅からたのしおじゃれ夜さこそ 665. あかおとし ささななななな かきがきの たびからたのし おじゃれよさこそ 垢落とし酒な肴な魚な掻きがきの…

東海道五十三次 三十五の宿 三河国宝飯郡 御油宿 祖どちはうらの狐に化かされて

三河国宝飯郡(愛知県豊川市) 御油宿 名物 松並木を言祝く 行くかたにしき松並まばごゆるりと見に入るよろし狐の御饗 664. ゆくかたに しきまつなまば ごゆるりと みにいるよろし きつねのみあえ 行く方に敷き松並まばごゆるりと見に入るよろし狐の御饗 ゆ…

東海道五十三次 三十五の宿 三河国宝飯郡 御油宿 珍らかもうれしくもなし色男

三河国宝飯郡(愛知県豊川市) 御油宿 御油 旅人留女 広重の手によせ 言祝く ゆくりかにしがらみかけてゆきつきてござるおじゃれに日も隠るらむ 663. ゆくりかに しがらみかけて ゆきつきて ござるおじゃれに ひもかくるらむ ゆくりかに柵掛けて行き付きて御…

東海道五十三次 三十四の宿 三河国渥美郡 吉田宿 水の名は濁りなきこそめでたけれ

三河国渥美郡(愛知県豊橋市) 吉田宿 吉田 豊川ノ橋 広重の手によせ 言祝く よき地に頻く頻くわたす大橋はくくる水さえ豊々まさりぬ 662. よきつちに しくしくわたす だいきょうは くくるみずさえ とよとよまさりぬ 良き地に頻く頻く渡す大橋は潜る水さえ豊…

東海道五十三次 三十四の宿 三河国渥美郡 吉田宿 天下の足場よ こころぼそくもおもしろし

三河国渥美郡(愛知県豊橋市) 吉田宿 吉田 豊川ノ橋 広重の手によせ 言祝く 天のした領かぬ身なれど台閣にしもじもみれば世はこともなし 661. あめのした しかぬみなれど だいかくに しもじもみれば よはこともなし 天の下領かぬ身なれど台閣に下々見れば世…

東海道五十三次 三十三の宿 三河国渥美郡 二川宿 炊くにおいに身から傾げかし

三河国渥美郡(愛知県豊橋市) 二川宿 二川 猿ヶ馬場 名物を言祝く いく山河ふみこしくれば頼りなきわがはらたまら 来よかしわ餅 660. いくさんが ふみこしくれば たよりなき わがはらたまら こよかしわもち 幾山河踏み越し来れば頼り無き吾が腹玉ら 来よ柏…

東海道五十三次 三十三の宿 三河国渥美郡 二川宿 さびしきもただ鳴るままに瞽女のゆく

三河国渥美郡(愛知県豊橋市) 二川宿 二川 猿ヶ馬場 広重の手によせ 言祝く 吾妹どちたがい連ねにふる風は心に影さし色いけるかも 659. わぎもどち たがいつらねに ふるかぜは うらにかげさし いろいけるかも 吾妹どち互い連ねに触る風は心に影差し色いける…

東海道五十三次 三十二の宿 遠江国浜名郡 白須賀宿 子を守る身にも輩の生えてけむ

遠江国浜名郡(静岡県湖西市) 白須賀宿 名物 袈裟切り地蔵を言祝く 永久なるは六道またぎし菩薩すらもてわずらうかあやかしづくとは 658. とわなるは ろくどうまたぎし ぼさつすら もてわずらうか あやかしづくとは 永久なるは六道跨ぎし菩薩すらもて煩うか…

東海道五十三次 三十二の宿 遠江国浜名郡 白須賀宿 枝折らるるままに海つ神いとまごい

遠江国浜名郡(静岡県湖西市) 白須賀宿 白須賀 汐見阪図 広重の手によせ 言祝く 離れ来てはすなわち離るらし まさら汐見の阪に遠つうみ見ゆ 657. かれきては すなわちさかる らしまさら しおみのさかに とおつうみみゆ 離れ来ては即ち離るらし 正ら汐見の阪…

東海道五十三次 三十一の宿 遠江国敷知郡 荒井宿 きびし関所は楽居といかず

遠江国敷知郡(静岡県湖西市) 荒井宿 荒井 渡舟ノ図 船旅の終わりを言祝く すべるごとはかゆく海の緒今切れば埒あけもがも改めしげきに 656. すべるごと はかゆくみのお いまぎれば らちあけもがも あらためしげきに 滑る如果行く海の緒今切れば埒開けもが…

東海道五十三次 三十一の宿 遠江国敷知郡 荒井宿 風はあざらにすずしげに

遠江国敷知郡(静岡県湖西市) 荒井宿 荒井 渡舟ノ図 広重の手によせ 言祝く はやあしにかぶる埃は今切に楽の船路そありがたげなる 655. はやあしに かぶるほこりは いまぎれに らくのふなじそ ありがたげなる 早足に被る埃は今切に楽の船路そ在り難げなる …

東海道五十三次 三十の宿 遠江国敷知郡 舞坂宿 いく双のわらじや捨てつる来し方に

遠江国敷知郡(静岡県浜松市) 舞坂宿 舞坂 今切真景 船の旅を言祝く 徒がちにさはしるあせは今切にひるめ耀う青海さはしる 654. かちがちに さはしるあせは いまぎれに ひるめかがよう あおみさはしる 徒勝ちにさ走る汗は今切にひるめ耀う青海さ走る か ち…

東海道五十三次 三十の宿 遠江国敷知郡 舞坂宿 まばゆきに手な傘さして

遠江国敷知郡(静岡県浜松市) 舞坂宿 舞坂 今切真景 広重の手によせ 言祝く えも青む遠つ淡海の今切の爽だつうらにかすむ白富士 653. えもあおむ とおつあうみの いまぎれの さわだつうらに かすむしらふじ えも青む遠つ淡海の今切の爽立つ浦/心に霞む白富…

東海道五十三次 二十九の宿 遠江国敷知郡 濱松宿 みましは翁にあらざるべし

遠江国敷知郡(静岡県浜松市) 濱松宿 濱松 冬枯ノ図 名物 ざざんざの松を言祝く 八幡の真白ぎつねのつまみなば敷知の許部松ざざんざ唄わね 652. はちまんの ましろぎつねの つまみなば ふちのこべまつ ざざんざうたわね 八幡の真白狐の抓みなば敷知の許部松…

東海道五十三次 二十九の宿 遠江国敷知郡 濱松宿 来し方行く末 身のからも

遠江国敷知郡(静岡県浜松市) 濱松宿 濱松 冬枯ノ図 広重の手によせ 言祝く 火のどちはあい知らぬまま聞かぬまま世ごと焼べつつあいぬくめゆく 651. ひのどちは あいしらぬまま きかぬまま よごとくべつつ あいぬくめゆく 火のどちは相知らぬまま聞かぬまま…

東海道五十三次 二十八の宿 遠江国磐田郡 見附宿 夜さのもののけ 与謝の手なる

遠江国磐田郡(静岡県磐田市) 見附宿 名物 夜泣き婆を言祝く あなおそろ 怪異の哭き女の恙まく御族のいかで禍つ日よきむ 650. あなおそろ けいのなきめの つつがまく みぞうのいかで まがつひよきむ あな怖ろ 怪異の哭き女の恙まく御族のいかで禍つ日避きむ…