うたのみあらか

かみほめ つちほめ たてまつる みそひとつ

明治~終戦のころ

熊本城 戦国の縄張り冴ゆる明治かも

熊本県熊本市 熊本城 言祝く 草いくさまさる隼人ももどかしく虜と果てぬ 古虎の返しはや 806. くさいくさ まさるはやとも もどかしく とりことはてぬ ここのかえしはや 草軍優る隼人ももどかしく虜と果てぬ 古虎の返しはや く さいくさ ま さるはやとも も …

稚内市 宗谷岬 樺太は那由他の果てに乙酉

北海道稚内市 宗谷岬 はらからを思う いくかえり波はよすれど樺太のつて知りかてに海つ霧ふる 805. いくかえり なみはよすれど からふとの つてしりかてに わたつきりふる 幾返り波は寄すれど樺太の伝知りかてに海つ霧降る い くかえり な みはよすれど か …

福岡県添田町 日田彦山線 彦山駅 まけいくさ足りぬ命のおとしまえ

福岡県田川郡添田町 JR九州 日田彦山線 彦山駅 1945年11月12日 二又トンネル爆発事故 はらからを悼む 勝ち軍 火を仕損じぬ 此つ方を惨に埋みぬ 役あけにしに 800. かちいくさ ひをしそんじぬ こつかたを さんにうずみぬ えきあけにしに 勝ち軍 火を仕損じぬ …

福岡市天神 赤銅御殿跡 厭離穢土 なじまざりけり白はちす

福岡県福岡市中央区天神 伊藤伝右衛門別邸 赤銅御殿跡 伝右衛門とかつての奥方に捧ぐ 愛つづる籠の鳥 破りがてに去りねんごろ切れぬ かなしみあらか 752. あいつづる かごのとりやり がてにさり ねんごろきれぬ かなしみあらか 愛綴る籠の鳥 破りがてに去り…

福岡県飯塚市幸袋 旧伊藤伝右衛門邸 華にたぐわぬも丈夫なれ

福岡県飯塚市幸袋 旧伊藤伝右衛門邸 伊藤伝右衛門を偲ぶ 炉にあかくくぶるほむらのうらはらにことのは鎮むる男ありけり 577. ろにあかく くぶるほむらの うらはらに ことのはしずむる おとこありけり 炉に赤く焼ぶる炎の裏腹に言の葉鎮むる男在りけり ろ に…

福岡県飯塚市幸袋 旧伊藤伝右衛門邸 三世にながむる時じ月読

福岡県飯塚市幸袋 旧伊藤伝右衛門邸 柳原燁子を偲ぶ 恋いそめし初心にいろさす黒髪のなさけおもえばももとせの月 576. こいそめし うぶにいろさす くろかみの なさけおもえば ももとせのつき 恋い初めし初心に色差す黒髪の情け思えば百歳の月 こ いそめし う…

鳴門市大麻町板東 板東俘虜収容所 板独にむすぶえにしに果てあらで

徳島県鳴門市大麻町板東 板東俘虜収容所 往時のともがらともがき偲び 阿波の国つ母 大宜都比売大神に奉る うたかたの同舟なりしも万鈞の橋かかりたり二千里のさき 566. うたかたの どうしゅうなりしも ばんきんの はしかかりたり にせんりのさき 泡沫の同舟…

徳島県鳴門市 大麻比古神社 囚われの月日に響く歓喜あり

徳島県鳴門市 大麻比古神社 板東俘虜収容所 眼鏡橋 ドイツ橋 松江豊寿陸軍中佐を偲び 大麻比古神と阿波の国つ母 大宜都比売大神に奉る あさからぬおひげの佐のお懇志と水はたたえよ ゆめにも涸るな 565. あさからぬ おひげのすけの おこんしと みずはたたえ…

奈良県天理市 大和神社 父子桜 いくかえり咲いたまえ いくせ散るとも

奈良県天理市 大和神社 戦艦大和ゆかりの宮 父子桜 大国主大神によせ 日本大国魂大神に奉る ひとひらにかげを偲ばば沖さくる祖よいろ兄よまとかなれかし 550. ひとひらに かげをしのばば おきさくる おやよいろえよ まとかなれかし 一片に影を偲ばば沖放くる…

西武新宿線 西武柳沢駅 旧中島飛行機 地に墜ちて昴の星はなおあかし

東京都西東京市 西武新宿線 西武柳沢駅 旧中島飛行機 中島知久平 中島知久平を偲び 言祝く やさし眉ぎわ 現つ世の無為なれと青雲の技師統ばりし人の 527. やさしまゆ ぎわあきつよの ぶいなれと せいうんのぎし すばりしひとの 優し眉際 現つ世の無為なれと…

北九州市若松区 厳島神社 旧ごんぞう小屋 せわしくなりぬ海つ比売

福岡県北九州市若松区本町 厳島神社 弁財天上陸場 旧ごんぞう小屋 市寸島比売命に奉る われ結びかましごんぞは詰め離れ斎きの比売をこい慕いけむ 510. われむすび かましごんぞは つめあかれ いつきのひめを こいしたいけむ 破れ結び囂しごんぞは詰め離れ斎…

のぞみ2号の旅 新横浜駅 10:54発

神奈川県横浜市 東海道新幹線 新横浜駅 言祝く ひのもとの輿車のおこりに今昔を馳せてまだきに枕く旅すがら 495. ひのもとの よしゃのおこりに こんじゃくを はせてまだきに まくたびすがら 日の本の輿車の起こりに今昔を馳せて未だきに枕く旅すがら ひのも…

のぞみ2号の旅 広島駅 07:18発

広島県広島市 山陽新幹線 広島駅 悼み言祝く 閃きのしきてあめつち全からず 昭和二十年八月六日ゆ 489. ひろめきの しきてあめつち またからず しょうわにじゅうねん はちがつむいかゆ 閃きの敷きて天地全からず 昭和二十年八月六日ゆ ひろ めきの し きてあ…

のぞみ2号の旅 徳山駅 06:56発

山口県周南市 山陽新幹線 徳山駅 偲び言祝く 突ごつのくすし入り江に大和なるいにしのかげやおぼろに見べき 488. とつごつの くすしいりえに やまとなる いにしのかげや おぼろにみべき 突ごつの奇し入り江に大和なる往にしの影や朧に見べき と つごつの く …

錦糸町駅 錦糸公園 乙酉の年 弥生十日 めでたきことのなにもなし

JR東日本 錦糸町駅 東京都墨田区 錦糸公園 春の花を思う 欣然と下照らせてそちりぬべき よすがの祖を埋ずみましつつ 469. きんぜんと したてらせてそ ちりぬべき よすがのおやを うずみましつつ 欣然と下照らせてそ散りぬべき 縁の祖を埋ずみ増しつつ きん …

1901年(明治34年) 官営八幡製鐵所に火は興る

北九州市八幡東区 八幡製鐵所 起業祭 言祝く 興国の火入れのあした祝う日はまみえまほしや八万御幡 430. こうこくの ひいれのあした いわうひは まみえまほしや やおろずみはた 興国の火入れの朝祝う日は見えまほしや八万御幡 こうこくの ひいれのあし た い…

直方 須崎町 開月館 煤めきてありうつし世もゆめの瀬も

直方 須崎町 開月館 在りし日を偲ぶ 煤けしもさかるおりしにキネマ美しみたびによらしむさすらい人しも 372. すすけしも さかるおりしに きねまいしみ たびによらしむ さすらいびとしも 煤気しも盛る折しにキネマ美しみ度/旅に寄らしむ流離人しも す すけし…

直方 須崎町公園 芙美子碑 少女すこやかにはぐくむ毒と夢

直方 須崎町公園 芙美子碑 偲ぶ カチューシャのすさびて侘びし木賃宿 越す夜も明けぬふみの道やも 371. かちゅーしゃの すさびてわびし きちんやど こすよもあけぬ ふみのみちやも カチューシャの遊びて侘びし木賃宿 越す夜も明けぬ文の道やも かちゅーしゃ…

直方 向野堅一記念館 日清貿易研究所 功も屍も紙一重の夢

直方 向野堅一記念館(鞍手郡新入村生まれ) 氏の芳友を悼む 清朝ににじむにき日の夕立ちて秀づ兄らは夜露に果てにき 370. しんちょうに にじむにきひの ゆうだちて ひいづあにらは よつゆにはてにき 清朝に滲む和日の夕立ちて秀づ兄らは夜露に果てにき しん…

筑豊本線 直方駅 旧駅舎 昔めくたたずまい 趣向こらせる車寄せも ついに姿をほどかれたり

筑豊本線 直方駅 旧駅舎 偲ぶ 明治の血 湛えたる屋がまえゆり祖の手しのぶ乗り合いあらか 363. めいじのち たたえたるおく がまえゆり おやのてしのぶ のりあいあらか 明治の血 湛えたる屋構えゆり祖の手偲ぶ乗り合い殿 めいじのち た たえたるおく が まえ…

直方 石炭記念館 百とせ逆巻けば響くは怒号か豪笑か

直方 石炭記念館(旧筑豊石炭鉱業組合直方会議所) 炭鉱王らを偲ぶ 胸三寸 飲むや事成し顔にみる太助の魄のこもりあらぬかも 353. むねさんずん のむやことなし がおにみる たすけのはくの こもりあらぬかも 胸三寸 飲むや事成し顔に見る太助の魄の籠り在ら…

筑豊本線 浦田駅 旌忠公園 太賀吉翁のささげもの

筑豊本線 浦田駅 旌忠公園 忠霊塔 悼む 國のため斃れし兄の礼塔をうたてみ高雄の花や色こき 290. くにのため たおれしあにの らいとうを うたてみたかおの はなやいろこき 國の為斃れし兄の礼塔をうたてみ高雄の花や色濃き くにのため た おれしあにの ら い…

筑豊本線 鞍手駅 享年四十七 大正八年生まれの貨物支線

筑豊本線 鞍手駅 旧小牧信号場-筑前中山 貨物支線 往時を偲ぶ ヤマたちて逸る国から押しけらく 今日のわだちの中山知らずも 282. やまたちて はやるくにから おしけらく きょうのわだちの なかやましらずも ヤマ立ちて逸る国柄押しけらく 今日の轍の中山知…

筑豊本線 中間駅 遠賀川橋梁 二十四年か四十一年か いずれにせよ明治の架設

筑豊本線 中間駅 遠賀川橋梁 言祝く 長津辺や嵩つむ煉瓦にまみゆれば明治の汗は黒く染み沁み 280. ながつへや かさつむれんがに まみゆれば めいじのあせは くろくしみじみ 長津辺や嵩積む煉瓦に見ゆれば明治の汗は黒く染み沁み な がつへや か さつむれんが…

北九州市 若松港 真黒の山はわたつみさまのそなえもの

北九州市 若松港 往時を偲ぶ 尽きかてぬ真黒の玉のかきつみに咲ふごんぞよ歯並みしららに 273. つきかてぬ まくろのたまの かきつみに わらふごんぞよ はなみしららに 尽きかてぬ真黒の玉の掻き積みに咲ふごんぞよ歯並み白らに つ きかてぬ ま くろのたまの …

沖縄県 民間人を巻き込んだ島嶼戦

沖縄県 昭和二十年 沖縄戦 悼む わたのはらなべてにき凪ぐきょうなれど遠ちにあふれし血汐なわすれそ 206. わたのはら なべてにきなぐ きょうなれど おちにあふれし ちしおなわすれそ 海原並べて和き凪ぐ今日なれど遠ちに溢れし血汐な忘れそ わ たのはら な …

群馬県 養蚕業 乾いて煮られて絹になる

群馬県 往時を偲ぶ 煮られてし億のまゆたま弔わん 御身繰りつぐ絹を献げて 199. にられてし おくのまゆたま とむらわん おんみくりつぐ きぬをささげて 煮られてし億の繭玉弔わん 御身繰り接ぐ絹を献げて にられてし おくのまゆた ま とむらわ ん おんみくり…

鹿児島県 知覧 万世 指宿 鹿屋 串良 国分 出水 南海に玉と砕けぬ

鹿児島県 先つ兄を悼む かえらざる護国の盾をしのぶればまぶたにちらむ笑顔あどなく 182. かえらざる ごこくのたてを しのぶれば まぶたにちらむ えがおあどなく かえらざる護国の盾を偲ぶれば瞼に散らむ笑顔あどなく か えらざる ご こくのたてを し のぶれ…

愛媛県 松山市 命数を悟りてひらく花もあり

愛媛県 松山市 偲びつつ戯れる まさりたる綴りのわざは病みてなおまさにおかしき上気にのぼる 104. まさりたる つづりのわざは やみてなお まさにおかしき じょうきにのぼる 勝りたる綴りの技は病みて尚正におかしき上気に上る ま さりたる つ づりのわざは …

宗谷本線 稚内駅 稚泊連絡船 戻ることなき最果ての鉄路

宗谷本線 稚内駅 稚泊連絡船 往時を偲び同胞を悼む いくどかの波の興れば樺太に繋ぐ鉄路も海つ霧に消ゆ 100. いくどかの なみのおこれば からふとに つなぐてつろも わたつきりにきゆ 幾度かの波の興れば樺太に繋ぐ鉄路も海つ霧に消ゆ い くどかの な みのお…